創業30周年を迎えて
 

30年を振り返ってみて

中司 善浩

30年を振り返ってみて、色々な事があったなぁ~と思うのですが、思い出すのは、直近の事ばかりで、年を取ったと感じております。
それで、15年目の時に書いた「15周年に至って」と20年目の時に書いた「創立よりの歩み」の文書を読み直したのですが、こんな事を書いていたんだなぁ~と思い、改めて、この文書をみんなが読んだら、「懐かしいと思う人」と、「こんな事が在ったのかと思う人」が、今の弊社には、いるのかなぁ~と思うと、月日の経過と会社の人数と年代層に厚みが出てきたなぁ~と感じられ、ゆっくりですが、着実に会社は成長していると感じています。

更なる発展を考えると、弊社は日本の経済情勢によっては吹けば飛ぶような、まだ小さな会社であり、「経営の舵とり」が重要だと考えています。
私は「経営の舵とり」とは、的確な経済情勢の判断力と少々の失敗をリカバリーが出来るバイタリティーを兼ね備え、経済状況によっては、「攻めの経営」、「守りの経営」を臨機応変に行う事だと思っております。
これからの時代の「経営の舵」を30年の節目として 「創立よりの歩み」で書いた「世代交代」にて若返り、新たな経営者及び経営陣で「経営の舵」を取って貰いたいと思って、2016年12月に「世代交代」を行います。

20年~30年目までの10年間の事柄を、重大ニュースに絡めて書いて置きます。

経済悪化と政権交代時期

2008年9月にリーマン・ショックが起こり、日経平均株価も12214円から10月の終わりには6000円まで下落しました。弊社へのリーマン・ショックの影響は2009年ごろから影響し、仕事が無くなり、当時の若手社員が自宅待機や助成金を受け、又、みんなに合意してもらい私も含めて給与を減額し、極限まで経費削減を行いました。結構辛かったです。

2009年7月、民主党に政権が交代しましたが、景気は一向に良くなりませんでした。
当時、弊社は借入金が多額にあり、セーフティーネットを活用して、借入金の借り換えで返済期間を延ばし、月々の返済額を減らしながら経営を維持して行きました。

2012年12月、再び、自民党に政権(安倍政権)が交代し急激に景気が活気づいてきました。
弊社もそれに伴い景気が良くなって行き、給与の減額も徐々に元に戻して行きました。

バブル崩壊とリーマン・ショックの経済悪化を2度経験しましたが、リーマン・ショックの方が経営者としては辛かったです。その理由としては、バブル崩壊時、私らも若くバイタリティーが在り、従業員も少なく、借入もありませんでしたし、体力勝負で何とかなると考えていましたし、又、何とかなりました。バイタリティーで乗り切った感じです。因みに、この時、4時間位掛けて金融機関に事業計画を提示、説明して初めて借入しました。
リーマン・ショックの方は、バイタリティーはバブル崩壊時期より若干衰えていて、従業員も20名、借入も多額でしたが、会社の信用度や規模はバブル崩壊時期より遥かに有り、信用度と会社の規模(数の論理)で乗り切ったと思います。
諦めなければ、それぞれの状況、状態で、何とかなるとものだなぁ~と思います。

震災

1995年1月に神戸で発生した阪神・淡路大震災を皮切りに、2004年10月の中越地震、2011年3月の東日本大震災、2016年4月の熊本地震、2016年10月の鳥取地震と大きな地震が次々と発生しています。特に東日本大震災での津波被害は想像を絶する物があり、それぞれの地震での被害は地震毎に異なる大きな被害が起こっています。
地震が発生する度に、神戸での震災時期を思い出します。地震は数十秒ですが、被害は大きく復旧、復興には何十年も掛かります。
東南海地震の発生が予測されていますが、安否情報や連絡網の再確認が必要と思っています。

直近では、鳥取地震の発生時、携帯の緊急速報が鳴り何秒後かに神戸でも揺れが起こり、たかだか10〜30秒ほどですが、身構える時間があると言うのはかなり有効だなぁ〜と思いました。技術の進化は著しい物があると思いますが、技術やシステムだけに頼るのではなく、被害に見舞われない様に日頃からの心と物の準備が必要だと思いまし、組織としても支援出来る様な組織で在りたいと思います。

情報漏洩

2005年4月に施行された個人情報保護法の初期の時期では、組織内部での情報漏えいや不注意による情報の破棄やカバンの置き忘れ等による組織内部からの情報漏えいが頻繁でしたが、2016年からは「標的型メール」や「ばらまき型メール」などの外部からの攻撃による、情報漏えいが頻繁に発生しています。最近では、IoT機器乗っ取りの悪用ウイルスによる、サイバー攻撃も発生して、大規模な被害を被っている様です。時代の変化と共に情報漏えいの手段も色々変わるなぁ〜と感じますが、いずれにせよ、情報を扱うものとして、情報漏えいに対する防衛が必要で在り、その状況毎に「情報漏えい対策」を実施する必要があり、情報漏えいは、会社の命取りになり兼ねないと思います。

業務系の技術者の観点から見た今後の情報技術のRoadMap

1 NetWorkインフラ環境の充実と安価
昨今のパソコンやスマートフォンなどの進化はハードの性能UPもありますが、何と言っても、NetWorkのインフラ環境の設備の充実と通信速度の向上、通信容量の増大が挙げられ、それらを安価なNetWork料金で使用出来る事だと思われます。
30年前では、現在のNetWork環境を想像も出来なかったと思います。NetWorkはかなりの高価な物でしたから、今後は、さらにIoTと進化して行く様です。NetWorkの発展に伴って情報社会や技術が進化して行くと思われ、弊社の発展のネタは尽きないと思います。
只、サイバー攻撃による情報漏えいが特に懸念される様になって来ました。NetWorkがIoTまで進化してくと根本的な対策が必要と思われ、TCP/IPのプロトコルが変わるのではないかと思っています。
2 ハードの進化
ハードに関してはあまり詳しくないですが、NetWorkの発展やパソコンやスマートフォンの薄型や小型化はハードの進化によるものだと思います。IoTの発展に伴い、組込みシステムやプログラムへの通信機能の取り入れが行われ、センサー、ハード制御や通信機能をコントロールする様な組込用のOSのさらなる進化が見込まれます。
(組込用のOSは存在しますが)
それと、画像解析、センサー感知、ハード制御の性能向上や組込プログラムの性能向上もあり、IoT経由による、サーバでのデータ管理や解析、分析、推論が行われ、益々のハードの進化が見込まれると思われます。
3 広域的なシステムの連携と融合
上記のNetWork、ハードの進化により、今まで独立していた、それぞれの分野のシステム連携や融合が行われると思われます。システムの連携や融合により、業務系のシステムの形態も変わるかもしれません。この話は、10年以上先の中、長期的な話になると思いますが、ネタ的な物は既に出て来ていると思います。それは、BIGデータ、AI、IoTと言うキーワードがあり、これらを基軸に発展し連携と融合が行われ業務系システムの進化と繋がって行くと思います。
4 新たな開発手法とレガシーシステムの行方
アジャイル手法等による新たな開発手法が最近出て来ました。約40年前に構造化プログラムの開発手法が出現し、現在の開発手法の元となっていると思っております。
アジャイル手法の開発手法は大規模システムの構築には向いていない様に思われます。
又、レガシーシステムについて、レガシーシステムの移行や統廃合が行われていますが、中々、移行や統廃合が進んでいない様に思われます。
その原因としては、大規模弊害があると思われます。大規模システムは既に何十年と稼働しており、設計書はあるが、開発した人が現場に携わらなくなり、システム全体を把握出来る人がいなくなった事で、移行や統廃合が進んでいないと思います。
保守、運用でもレガシーシステムの技術者が高齢化し、若い技術者が育たなくなり技術者が少なくなっていると思います。又、開発言語が増えた事と用途別のシステムが色々登場し技術者の分散も、その要因であると思います。
其の事から、保守、運用もシステム全体の把握に時間が掛かり、メンテナンス時間、コストの増加があると思います。
今後、システムの維持や移行、システム構築には、新たな設計手法やツールが必要と思います。内容としては、システム全体や機能毎の概要表示、設計書とプログラムの関連性の表示、一部の機能変更による影響がどこに発生するかが見える様な設計手法とツールだと思います。(システム中心のIDEの様な物)
この様な設計手法やツールが出て来ると、一気にシステムの移行や統廃合、システム構築が進むと思います。良い物には良い道具が必要と思います。
5 集中型と分散型システム
集中型と分散型のシステムの考えがあると思います。現在はNetWorkの発展に伴ってCloudシステムが流行りですが、CloudシステムはNetWork を使用した集中型システムと思います。
30年前は、汎用機を主に集中型システムでしたが、やがて、分散型のクラ/サバ系の分散型に移って行きました。要因としては、ハードの性能と価格の費用対効果が安価になった事だと思われます。その後、NetWorkの発展に伴って再び集中型のシステムが登場して来たと思います。当面は集中型と分散型の両方のシステムが混在すると思いますが、今後、再び、技術の進化と価格の費用対効果や、広域的なシステムの連携や融合から、新たな分散型のシステムが注目されるかも知れませんが、かなり先(何十年)の様に思います。長い目で見るとシステムは集中型、分散型の繰り返しと思います。
6 開発言語の進化
日本では、40年前の主流となる言語はCOBOL、PL/Iと言う様な手続き型言語でした。アセンブラはCOBOL、PL/Iで実現出来ない部分を補って使用され、主にOSに近いミドルウェアのシステムで使用されていました。 その後、C言語、Windows系の言語としてVB言語、Object指向のC++言語が出現し、WEB系の言語とJAVA、PHP、Perl言語も出現し、Windows系の進化版言語として.NETのC#、VB言語が出て来ました。その他、OS毎や色々な言語がありますが、弊社ではC#言語を主要言語としています。Object指向の言語は、昔の構造化プログラムの考え方を取入れた進化系の言語と考えています。 IoTに関する言語もこれから出現して来ると思いますが、Object指向を取入れた言語が主流になると思います。

経営者として見た今後の情報会社の狙い目

1 特定派遣廃止による情報産業の統廃合
2015年9月に施行された労働者派遣法の改正に伴い、3年後に特定派遣法が廃止されます。弊社も特定派遣から一般派遣に切替えが必要となります。一般派遣を取得するにはハードルが高いのですが、必ず、取得する必要があります。情報系では弊社の様な小さな会社が多く存在しており、会社の統廃合が起こるのでは思っています。情報系の技術者が増々必要とされる中、この法案の改定は嵐でもありチャンスでもあると考えます。又、組織の考え方やルールの変革も必要になると思います。チャンスとして活かして行きたいと思います。
2 広域化によるシステムの連携と融合
技術での「広域的なシステムの連携と融合」でも書いた様に、同じ情報系の分野でのシステムの連携と融合が、この先、起こって来ると思います。その先駆けとして2020年に日本でオリンピックが行われ、その一つの形が現れて来ると思います。オリンピックに向けて、色々な分野での技術が急速に形になって来ているようです。業務系もこれに伴って狙い目が出てくると思います。
3 レガシーシステムからの移行
先の事となると思いますが、レガシーシステムの移行はスクラップ&ビルドかコンバージョンかは分かりませんが、移行は発生すると思います。レガシーシステムは数も多く又規模も大きい為、決断する判断材料が色々必要だと思います。その判断材料の1つして、景気の時期があると思います。時期は今より、一層景気が良いか悪いかのどちらかの時期だと思います。現状のままの景気の状態だと移行は判断しづらいと思います。もう一つの判断材料として、汎用機での開発言語がCOBOL、PL/I等のままであるならば技術者不足となり、この先、移行になると思います。
汎用機でのOSの進化や開発言語がObject指向の様な新たな物が出現すれば汎用機内での移行になると思います。

締めの言葉

色々と書きましたが、ひとつの判断材料として頂きたいです。弊社がさらなる発展を行う為には、技術の方向性の読取や法の改正、景気動向等の社会情勢の変化に着いていく必要あり、又、それに伴って組織の考え方やルールも変わって行く必要があると思います。誰かから聞いたか、読んだか覚えていませんが、30人、60人、90人と組織の規模が変わって行く毎に、その組織の規模に在った考え方やルールがあると言われ組織も変わって行く必要があるとの事です。
今後、考える事や行う事が色々出てくると思いますが、更なる発展の為、

自分たちの思いを形にして行きましょう!!